成果とは何か

辞書パックを1ヶ月ほど使ってきた方から、「読まずに読む」ことが実感できずに壁にぶつかっているという趣旨のメールをいただきました。フォトフォーカスにすると文字がぼやけて読めなくなり、単語ごとに焦点を合わせてしまうということです。

結論から先に言うと、最初のうちはそれでも構いません。もし皆さんが、辞書パックの翻訳手法はフォトフォーカス的な目の使い方で訳してこそ意義があると思っているようでしたら、それは違います。フォトフォーカスのような目の使い方をしなくても、解説書に沿って辞書とキーを正しく使えば、速度や品質は確実に上がります。

それではなぜフォトフォーカスかというと、こうした目の使い方をすることで、分からないことを調べる情報収集の効率・精度が上がったり、原文に対する理解度を深めやすいといった効果が得られるからです。つまり、フォトフォーカス状態での翻訳は、あくまでも最終目標と言うことができるでしょう。最終目標に達する前には、たとえばキーの使い方を変えて訳せるようになることなど、中間目標がいくつかあります。

私自身の経験から言えば、「原文を“読まずに読む”翻訳手法」で翻訳をしていると、最初のうちは単語ごとに焦点を合わせているように感じていても次第に文字を一字一句追わなくても内容を認識できるようになります。ですから、最初から完璧を求めようとせずに、自分自身の成果を観察してみるとよいのではないでしょうか。

翻訳に限らず、初めてやろうとすることには、必ずといっていいほど試行錯誤の過程が伴います。大切なのは、途中で何か問題にぶつかったときに「自分の理想とする結果の形」を作ってしまわないことです。「こういう効果が得られるはずだ」「こうあるべきだ」という結論を先に自分の中で決めてしまうと、そのとおりにならなかったときに無意識のうちにストレスになりやすいのです。

ストレスが生じると、できるはずのこともできなくなります。読書をする際にプレッシャー(ストレス)があると内容の理解度が極端に落ちるのと同じで、翻訳時にもそのときの精神状態は皆さんが思っている以上に成果に影響します。

ですので、「うまくいかない」と否定的にとらえるのではなく、「どうやらうまくいっていないらしい」ことが分かったことも1つの学びであると、肯定的にとらえてみましょう。過去の経験すべてを次に進むための「資源」と考え、その資源を自分の糧として保存しておくのです。うまくいかないと感じたら他の方法を試せばよいだけですし、過去の「資源」をしっかりと自分の中に保存してあれば、少なくとも同じプロセスを繰り返すことだけはなくなります。

“読まずに読む”翻訳手法でいえば、文字を大きくするだけでも、作業負荷や結果が違ってきます。このとき、フォントのサイズを変えてしまうと後々面倒なことになる場合があるため、フォントサイズではなく画面のズームイン機能を使って全体を大きくします。Wordの場合であれば、[標準]ツールバーにあるズームボックス(100%など、パーセント表示されています)を使って画面表示を大きくできます。ボックスの中にある選択肢以外にも、自分で数字を入力すればその通りのサイズになり、私は常に140%にして使ってきました。

いずれにしても、昨日できなかったことが今日できれば、それで十分ではないかと思います。今日よりも明日、明日よりも明後日、ひとつひとつできることが増えていけば、いつか大きな力になります。一足飛びに「理想の効果」を追わずに、いろいろ試してみるとよいでしょう。

もちろん、どうしても行き詰まったときはメールをくだされば、考えられる限りのノウハウやヒントは喜んで提供します。頑張ってください。

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