コンピュータウイルス

パソコンが仕事の必需品である翻訳者にとって、インフルエンザよりも怖いのがコンピュータウイルスです。コンピュータウイルスに感染すると、友人知人や取引先に「病気をうつす」ことになったり、守秘義務のある翻訳ファイルを勝手に外部漏洩されるといった、さまざまな被害が生じます。感染の仕方によっては翻訳者生命を危険にさらす可能性すらある、とても恐ろしい存在です。

ところが、コンピュータウイルスと感染を防ぐ方法について正しい知識を持っている翻訳者は意外と少ないように思います。実際、このメールをお読みになっている皆さんの中にも、知らないうちにウイルスに感染している方がいらっしゃいます。ユーザー登録をした人しか知らないはずのメールアドレスに、ウイルス付きのメールが何通も送られてくるからです。皆さんのうち誰かのパソコンがウイルスに感染し、ディスク上にあるメールアドレス宛に感染メールが自動送信された結果、こうしたことが起こります。

では、コンピュータウイルスとはどのようなものなのでしょうか。

まず最初に知っておいてほしいのは、ウイルスというのは単なる「便宜上の呼び名」に過ぎないということです。コンピュータの世界では、あらゆる動作がソフトウェアによって制御されています。フロッピーやハードディスクとの間でデータを読み書きするのも、メモリやCPUを制御するのも、ぜんぶソフトウェアが行っています。

ハードウェアが物理的に故障している場合を除けば、一から十まですべてがソフトウェアによって動いているのです。コンピュータはソフトがなければ「ただの箱」と言われるのもこのためです。

そして、コンピュータウイルスと呼ばれているものも、やはりこうしたソフトウェアのひとつにすぎません。利用者に不利益をもたらすソフトウェアを一種のたとえとしてウイルスと呼んでいるだけです。

ですからコンピュータウイルスが自然発生することは絶対にありません。どんなアプリケーションプログラムでも自然に生まれることなどないのと同じです。どこかの誰かがウイルスを作ってばら撒き、パソコンの利用者が不用意にそのウイルス自体またはウイルスに感染したファイルを自分のパソコンに取り込んでしまうことで、ウイルスへの感染が生じます。

コンピュータウイルスに対する感染予防策として、多くの方がアンチウイルスソフトを導入しているかと思います(昨今のウイルスの多さと巧妙さを見ていると、パソコンを仕事に使っていながらアンチウイルスソフトを導入していないというのは、なかば自殺行為に近いともいえます)。これはこれで大事なのですが、「ウイルス対策」とはアンチウイルスソフトを導入することだけではありません。

アンチウイルスソフトを入れていればそれで大丈夫なのかといえば、答えはノーだからです。究極のウイルス対策は外部からファイルを一切受け取らないことですが、翻訳業務の過程ではクライアントから原稿ファイル等を受け取らないわけにはいきません。メール受信時のチェックという視点でみれば、アンチウイルスソフトは無意味というわけではありません。無意味ではありませんが、万能でもないのです。

次から次へと生み出されるウイルスを事前に予測し、そのすべてに確実に対処できる「ワクチン」を前もって開発することなど不可能です。ウイルスの検出漏れがあったり、本当は有用なソフトをウイルスと誤認することも十分にあり得ます。

このため、アンチウイルスソフトに依存するのではなく、日頃の心がけでウイルス対策をしていかなければなりません。

ここでいうウイルス対策とは、使用しているアンチウイルスソフトの更新状況を常にチェックし、アップデートがリリースされたらその有用性を判断して適用するとか、外部から届いたファイルを不用意に開かないといった、日常的な操作すべてに関わる総合的なものです。メーラーにOutlook Expressを使用している方は、Outlookの弱みを利用したウイルスが多数出ていますので、特に注意が必要です。また、最近だとウェブサイトにアクセスした瞬間に感染させる仕組みも出てきていますから、アングラサイトのような怪しい場所には足を踏み入れないことも重要な対策のひとつです。

いずれにしても、ウイルスに対する正しい知識を身につけ、しっかりと自分の身を守っていくようにしましょう。

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