| 翻訳ソフトによる訳抜け
翻訳にパソコンを取り入れることに積極的な方であれば、いわゆる翻訳ソフトの利用を検討したことがあるのではないかと思います。
確かに、翻訳ソフトは上手に活用すれば便利なツールなのですが、こと「文章を訳す」という点でみれば、まだまだ不十分です。
中には、翻訳の品質はともかくとして、「抜け」がないだけでも助かるという意見もありますが、実は、翻訳ソフトが出力する訳文には結構な比率で訳抜けが出ます。
ひとつ例をあげましょう。
How many different glasses does a wine drinker really need?
この英文を翻訳ソフトにかけてみます。
出力は次のようになります。
ワイン酒飲みは実際に様々なメガネを必要とするか。
日本語がおかしいのはともかくとして、問題は文の作り方です。
how many
different(→様々な)
glasses(→メガネ)
does+need(必要とするか)
a wine(→ワイン)
drinker(→酒飲み)
really(→実際に)
こうして1:1に置き換えをし、それを英語の構文情報と重ね合わせたような出力になります。上の例だと、how manyは訳文に反映されず、無視された形になっています。
もうひとつ例をあげます。
In addition, restriction of the blood flow by application of a pressure makes the lactic acid buildup in the muscles less likely to be removed from the muscles.
さらに、圧力の施工による血流の制限は、筋肉から取り除か
れるだろう筋肉中で、乳酸強化を行なう。
In addition(→さらに)
restriction(→制限)
of(→の)
the blood flow(→血流)
by(→による)
application(→施工)
of(→の)
a pressure(→圧力)
makes(→行う)
the lactic acid(→乳酸)
buildup(→強化)
in(→中で)
the muscles(→筋肉)
less likely
to be removed(→取り除かれるだろう)
from(→から)
the muscles(→筋肉)
今度はless likely が無視されます。好意的に解釈して「〜だろう」がlikelyだとしても、lessは完全に落ちていますね。
この程度ならまだしも、ときには数語からなる句がまるごと抜け落ちることもあります。どうやら、内部的に「これだ」と思った構文に当てはめて文を作り、余った語は存在しなかったことになるようです。
日本語として明らかに不自然な文になるときは後から気づきやすいのでよいとして、それなりに文章になっているときはかなり危険です。
もちろん、個々の製品によって多少の差はありますし、翻訳環境の設定内容によっても違いはあるかと思います。
市場に出ているすべての翻訳ソフトで検証をしたわけではないため、どれも同じとは言い切れませんが、訳抜けの可能性が残ることだけは確かです。ちなみに、上の検証試験は、翻訳の品質が良いという定評のある大手メーカーの製品を使って行いました。
翻訳ソフトは「訳抜けのないツール」などでは決してありませんので、くれぐれも注意してくださいね。 |