プロローグの前の番外編

夏子はK短大の2年生…になる前の、17歳から20歳までの夏子です。もともと、プロローグから書き始めたストーリーに、後から前番外編などというものを付けてしまったので、変な構成になってますが、あまり気にしないで下さいね。


高校時代の夏子は英語漬け

高校2年の時、夏子の時間割には英語関係の科目ばかり。土曜日は休みだし1年に160日程度しか規定登校日のない学校で、半分以上が休み。それなのにこの「英語づくめ」はハンパじゃない。試験なんぞやってくれた日には、前日はとんでもない忙しさ。だって、それでなくても先生たちはハイペースなのに、この量じゃぁねえ。朝の礼拝にアメリカ人の宣教師がおはなしをした日は、もう文字通り朝から英語。

もっといえば、学校のそばにはインターナショナルスクールが山のようにあって、夏子が通学に利用していたバスでは「今日、学校終わったらキャシーとミー(me)は映画行くけど、ユー(you)はどうする?」みたいな、英語と日本語が混在した会話が普通に聞こえてくる。(--ちなみに、夏子の学校は普通の私立女子校--)

 
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3年生になると、1週間31コマの授業枠のうち9時間めいいっぱい空き時間(授業のないフリータイム)をとった。授業に縛られるのが嫌いだった夏子らしいといえばそうなのだが、徹底しているのはこれだけじゃない。時々学校で開催される模擬試験。受験対策と称しては、旺文社や代々木ゼミナールが偏差値計算も兼ねて実施する。夏子は、こうした模擬試験も徹底して受けなかった。

学校では、受験指導の先生にしょっちゅう教員室に呼ばれた。
「柴田さん!一度くらいは模擬試験受けてみたらどう?」
「模擬試験をたくさん受ければ、大学に合格しやすくなるんですか?」
「そういうわけじゃないけど、自分の学力を客観的に判断する目安にはなるでしょう。」
「そんなことのために試験受けるなら、他のことに時間使います。」
なんとも、我が儘な娘である。

多分、同級生200人のうち、模擬試験と受験指導に年間通して一度も出なかったのは夏子1人だ。友人たちは皆、学校が終わった後にゼミや塾に通っていたり、毎週日曜日に模擬試験を受けていたりする。夏子は、塾やゼミの類にも一切行かず、徹底して受験制度に反発した。

そんな夏子が入学したのは、英語科のみのK短大。高校3年生の12月末に推薦入学を決めた。1月からは学校は自由登校になったため、推薦で大学の決まった夏子は学校にも出ずにあちこち遊びに行ってばかりだった。


そして大学生活最初の年が過ぎ、2年生の春。親しくしていた友達が、一緒にアルバイトをしないかと誘いに来た。

「株式会社ABC?その会社って、何やってるところなの?」
「医療関係の学会のオーガナイズだって。」
「ふ〜ん、おもしろそうね。」
「でしょ、でしょ。こういうことって、やりたいと思ってもそう簡単にできることでもないし、この求人って応募してみない?」
興味を引かれた。医学も薬学も全く未知の世界だ。国際会議や学会といった世界も、やはり何も知らない未知の世界。夏子は、この「知らないことに足を踏み入れる」感覚に何ともいえずゾクゾクする思いを感じて、試しに一度行ってみることにした。

「じゃあ、今度一緒に行ってみよっか。」
「うん、そうしよ。」


医学と通訳

<ここから先は、次回に続く>



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