| 特許翻訳者が翻訳を手がける書類のほとんどは、一般に「特許明細書」と呼ばれる出願書類です。
ある発明がなされた時、その発明に対する特許権を得ようと思ったら、そのための書類を特許庁に提出(=出願)しなければなりません。
出願書類は、厳密に言うと「特許請求の範囲」「明細書」「要約書」「図面(必要な場合)」といった書類で構成されていますが、通常はこれらの書類をまとめて特許明細書と呼んでいます。この講座でも、特許明細書といえば要約書や図面も含むと理解してください。
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次に特許制度について。制度は国ごとに決められており、出願をするときはその国の制度に従う必要があります。
特許翻訳をするにあたって、各国の細かい制度についての知識は必要ありませんが、日本、米国、欧州(EPC出願という形式があります)と国際出願については、出願から権利化までのおおざっぱな流れは知っておく方がよいでしょう。
出願の流れは、たとえば特許庁のホームページで知ることができます。翻訳者として独り立ちする頃までには、ざっとでも目を通しておいてください。
日本特許庁 <http://www.jpo.go.jp/indexj.htm>
「制度の紹介」→「特許・実用新案とは」「PCT国際出願制度の概要」
「出願から審査、審判、登録まで」→「特許権を取るための手続」
制度について若干でも知識がある方がよいのは、たとえば将来のクライアントから「パリで(パリルートで)訳して」「PCTで」などと指示が出たときに、何を意味するか分からないと困ることがあるためです。「パリで訳す」と言うのは、パリ条約に基づく優先権を主張した出願の翻訳のこと、PCTは国際出願に伴う翻訳のことです。
なお、いわゆる「外国出願」と「国際出願」は意味が違いますので、出願の流れについて学ぶときは注意してください。外国出願というのは、たとえば日本人が米国など他の国に出願する(パリルートが多い)ことを指す言葉であるのに対し、国際出願は複数の国に「まとめて」出願を行うことのできる制度で、別名PCT出願とも言います。

繰り返しますが、制度については知らなくても特許翻訳はできます。ただ、知識が多ければ多いほど有利なので、時間が許す限り学んでおくとよいでしょう。関連の書籍も多数市販されています。
市販の本を利用する場合、特許法や工業所有権法に関するものは読みにくいですから、「出願の手引き」など一般読者向けに書かれたものを使う方がよいかと思います。
注意!
特許制度は(細かいレベルで言えば)わりと頻繁に変わりますから、あまり古い本だと内容が現実と合わない可能性もあります。たとえば、数年前までは米国に公開制度はありませんでしたが、今は米国でも出願から1年6ヶ月経過後に公開されるなど、どんどん変化していくのです。
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