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新規顧客を探す前に… 求人情報を考える

翻訳者の公募に使われることの多い広告媒体。
かつて利用率が高かったのは、何といってもJapan Timesと朝日新聞です。

実際、翻訳会社の担当者に「広告を出すならどこを使いますか?」という質問をすると、従来なら上記の2紙は必ずと言っていいほど名前があがりました。

ところが最近では、翻訳者を募集する場として最も多いのはインターネットです。
翻訳雑誌等に掲載されるアンケートの結果を見ていても、求人に利用する媒体ランキングのナンバーワンはインターネットで、第2位以下を大きく引き離しています。

ただ、新聞媒体も昔に比べると利用率が下がったとはいえ、翻訳会社へのアンケートでは依然として回答数が多いです。ただし、朝日新聞に関しては、募集の場として利用する翻訳会社が多いだけで、掲載頻度はそれほど多くありません。

朝日に載せるとそれこそ対応だけに忙殺されることになりかねないため、あまり気軽に出せないのでしょう。特許事務所や法律事務所の求人が毎週必ずといっていいほど掲載されているのに比べたら、翻訳会社は少数です。

かたやJapan Timesはというと、特に和文英訳者やネイティブチェッカーの募集に、わりと頻繁に使われているように見受けられます。人気の理由は読者層のレベルが高く広告の費用対効果が高いことだそうですから、ある程度以上のスキルを持つ人の取引先拡大には、Japan Timesを利用すると効率がよいかもしれません。

ただし、新聞だと条件によっては結構な応募数があることが予想されますので、その点は踏まえておく必要があります。

参考までに、今までの経験や大手各社から聞いた話を総合すると、全国紙での翻訳者募集1回で応募数が300〜500、Japan Timesでのチェッカー募集1回で応募数100前後が、おおむねの平均値のようです。

よって、新聞に載った求人に応募するときは、「いかに目に留めてもらうか」「いかに読んでもらうか」が重要なポイントになります。

たとえば、応募書類の「見た目」を良くし、アピールポイントを分かりやすくするだけでも、結果はずいぶん違うと思います。

個人的な経験だと、新聞を使う場合に担当者が全部の書類を隅から隅まで読んで記憶し、その中で自分たちの条件に合う人を選び出すことなど、事実上不可能です。これはどういうことかというと、書類の「第一印象」でその人の仕事に対する姿勢(丁寧さなど)を判断するケースがままあるということです。

実際、仕事が丁寧な人は書類の作り方も丁寧です。逆に、書類に配慮が足りない人は、仕事を任せるようになっても配慮に欠けることが必ず出てくるのです。

このほか、地方の翻訳会社では地方紙に広告を載せることもあるようです。ただ、広告掲載媒体を一度決めたら、よほど事情がない限り他紙に乗り換えることはないかと思います。
普段とは違った新聞に広告を出す(あるいは初めて新聞広告を出す)と、それを見た翻訳者からの問い合わせよりも先に、あちこちの広告代理店から次々と「お誘い」の電話が鳴り、別の意味で仕事にならなくなるからです。
 
こちらは翻訳会社なのにもかかわらず、どう考えても関係なさそうなスポーツ紙の代理店までが電話をかけてきて、明日の紙面に、とか、明後日の紙面に、とかいった急なオファーが出てきます。
 
新聞の場合、翻訳会社と翻訳者の両方から見たステータスが確立されている数紙を除けば、広告を一番よく見ているのは間違いなく翻訳者ではなく広告代理店です。よって、こうした地方紙に載った求人に応募するときは、広告代理店からの電話が一段落したと思われる4日後以降あたりの方が、もしかしたら丁寧に対応してもらえるかもしれません。

 
次に、雑誌に掲載される求人広告について見てみましょう。
翻訳者を募集する場として利用率が高いのが、イカロス出版の『通訳翻訳ジャーナル』です。
この類の雑誌やムックに掲載される求人のほとんどは、常時募集中と明記されていてもいなくても「いつでも」受け付けますというものです。

雑誌の場合、広告の入稿締切から店頭に並ぶまでの間には結構な期間があります。
この期間は媒体によって違うので一概には言えませんが、最低でも30〜40日はあると思っていてよいでしょう。読者層が絞られている分だけ広告効果が高い反面、タイムラグが出るのは避けられませんので、結果として雑誌には「常時募集中」に近いものしか出せないのです。

このような広告に対して応募をするときに、覚えておくとよいことがひとつあります。それは、厳密な意味で「常に」新しい翻訳者が必要だということは、普通はほとんどないということです。即戦力になる人材ならいつでも歓迎なのはどこも同じことで、ここでいう「常時」とはそういうことではないのです。
 
日々の業務のレベルで本当に翻訳者が必要になるときは、いつも突然やってきますある日あるとき、突然に「あと10人欲しい」とかいうことになるのです。そうなってから求人をしていたのでは、とてもじゃなくて間に合いません。だからこそ、翻訳会社はこうした急な事態に備えて、翻訳者の余剰登録をします。これが「常時募集」の意味です。

株式会社アルクが全国の翻訳関連会社206社から得た調査結果によれば、翻訳者の実働率20%以下の企業が全体の約4割、実働率50%以下になると全体の約8割にものぼります。
 
よく、トライアルに合格したのに仕事がこないという声を聞きますが、トライアルを経て翻訳会社に登録されても、定常的に仕事をもらえるのは100人中せいぜい20〜30人。残りは「保険」ですから、合格イコール即取引にならないことが多いのは、当然といえば当然です。

雑誌などタイムラグのある媒体を使った広告の大きな目的は、この「保険」になる駒を増やすことです。

もっとも、数をこなすうちには、まれに最初から実働部隊として登録できる人が出てくることもあります。こういう事例は、翻訳会社と翻訳者の双方にとって恵まれた例外ですから、雑誌の求人に応募するときは「すぐに仕事をもらう」ことを当てにしすぎない方がよいでしょう。

もうひとつ、雑誌広告は選考負荷を分散させたいときにも使われます。同じ紙媒体でも、新聞に求人広告を打つと、しばらく対応に追われて他の仕事ができないことが珍しくないためです。新聞では1回の掲載で数百通の応募があるのがわりと普通で、書類に目を通すだけでも何日もかかるのに対し、雑誌だと発行部数の違いからか新聞ほど大変なことにはなりません。「読者層が絞られた媒体に有料で広告を出す」=「翻訳者確保に対する需要が高い」状況ながら、担当者には(忙しいながらも)比較的余裕があると思ってよいでしょう。

このため、雑誌に掲載される求人では、過去に訳した翻訳文の添付を応募の必須条件にしてくる翻訳会社がわりとあります。時間に余裕がある分、トライアルだけではどうしても見抜くことが難しい翻訳者の資質などを見極めようとするからです。

ここで評価の対象とされるのは、なにも翻訳文の品質だけではありません。
社会人としてのマナーや気配りなども、評価の対象になります。
たとえば、応募書類に翻訳文を添付させると、毎回必ずといっていいほど氏名を明記しない人が出てきます。本人は、「自分だけ」なので封筒や応募書類に名前があるからいいだろうと思うのでしょうが、これをされると相手は非常に困ります。履歴書と翻訳文を分けてしまったが最後、誰のものなのか分からなくなってしまうからです。

こうした細かい配慮ができるかどうかを見極めるのも、過去の翻訳サンプルを添付させることのひとつの理由です。自分としては最高のできばえのものを選んでいるであろうサンプルに、誤訳や不適切な表現があるのは論外として、たとえ優れた翻訳文と輝かしい実績をかかげても、他の部分で担当者が顔をしかめるようなことがあれば、採用が見送られることはあり得ます。程度によっては、そもそも書類を読んでももらえないということにもなりかねません。

逆に、雑誌に載った求人に応募するときは、上手に自己PRをすると即取引につながることもあります。読者層が絞られた媒体で積極的に仕掛けているような場合だと、翻訳会社側の意識や姿勢が明らかに違います。そういうときこそ、相手に訴えかける自己PRができれば、これは功を奏することが多いのです。
 
最後にインターネット上での人材募集です。
いわゆる「求人サイト」に人材募集の旨を掲載し、条件等の詳細については自社サイトに掲載しておくパターンですね。

いまや翻訳者のインターネット利用が当たり前になりつつあるご時世。
自社サイトなら有料広告と違って書きたいことを好きなだけ書くことができますし、内容の変更に対する自由度、コストなど、あらゆる意味で魅力的なのでしょう。

ただ、自社サイトだけだと「一体どのくらいの人の目に留まるのか」という問題があります。
いつ掲載されるかも分からない求人情報をチェックするために、山のようにある翻訳会社のウェブサイトを定期的に巡回する人が、どれだけいるでしょうか。

忙しい(=仕事ができる)翻訳者ほど、とてもそんなことをしているとは思えません。自社サイトの募集情報自体には、広告としての機能は望めないのです。こうした露出度の問題を解決してくれるのが、各種求人サイト。向こうも商売ですから、放っておいてもアクセス数を上げる努力をしてくれます。

求人サイトが出てくるまでは、インターネット上での人材募集は緊急性がないときに使われていました。自社サイトに募集記事を掲載しても、翻訳者がすぐにそれを見てくれる可能性は低いからです。
ところが、求人サイトの知名度が上がるにつれて、急ぎの求人にもインターネットが使われるようになっています。求人サイトはどこも、データベースシステムを駆使して常にホットな情報を掲載してくれます。

リアルタイムに最新情報を提供する----。これは、求人サイトのひとつの役割のようなものです。
求人に応募する側にしても、いつ掲載されるか分からない広告のために新聞をとる必要はありません。雑誌の定期購読も不要です。

求人サイトのように目的が絞り込まれた場は、仕事を探す側と人材を求める側の双方にとって大きなメリットになります。
 
文明の利器、インターネット。
上手に活用して、自分にあったクライアントを見つけてみてくださいね。
 
 

つれづれ雑記

求人サイトで、自分の条件にあった広告を全文検索。
ほんの少し前までは考えられなかった形が、今や当たり前になっています。
その上、翻訳需要の急増も後押ししてか、どの求人サイトでも翻訳関連の募集は目白押し。
時間をいかにうまく使うかが至上命題とも言われる、 翻訳者。
こうした求人サイトは、ほんとうにありがたいですね。
 
そこで、翻訳者の仕事探しという視点から、各種求人/人材紹介サイトを比較検討してみました。
あなたの仕事探しの参考になればと思います。
  

 

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