| Others > どっちを使う ?電子データと紙原稿 昨今では、発注時に紙の原稿に加えて電子データを提供してくれる発注元が増えました。
ところが、電子データの有無とは関係なく「翻訳は必ず紙原稿に沿って行うように」との指示を出すところが少なからずあります。
これはなぜかという問い合わせがわりと多いので、電子データと紙原稿の違いについて触れてみたいと思います。
たとえば特許翻訳の場合、「PCT出願の翻訳文作成」という仕事があります。これは、すでに出願・公開されている公報が翻訳対象となるもので、公報の内容をそのまま翻訳することになっています。
出願人が出願時のデータをそのまま保存していれば、電子データの内容と公報の内容は同じになります。
ところが、出願から翻訳文が作成されるまでには何ヶ月も経過するため、この間に出願人がデータに手を加えているケースがわりと普通にあるのです。
結果として、電子データの内容と紙原稿(公開公報)の内容との間に差が生じます。翻訳はあくまでも公報に合わせて行うことになっていますから、「紙原稿に沿って翻訳するように」ということになるわけです。
特許以外の分野でも、OCRで作成したデータを利用しているような場合には、誤認識の可能性を考慮して「紙に沿って」と指示をすることがあるでしょう。
ただ、このようなケースではCT方式が使えないかというと、決してそんなことはありません。
わたしは常にデータを使って作業をして、翻訳文の見直し(チェック)時に紙原稿と照らし合わせていました。
特許翻訳の場合、電子データをどこで取得したかによっては、紙と電子データとが数段落あるいは数ページ分も違っていることが時々あります。
それでもなお、翻訳は電子データを使って行ってきました。
発注元は「紙原稿に沿って翻訳をするように」と言いますが、これを意訳すると「紙原稿に沿った翻訳文を納品するように」です。
大事なのは、最終的なアウトプット。
何も文字どおりに翻訳そのものまで紙原稿と行ったり来たりで行う必要はどこにもありません。抜けがあろうと違いがあろうと、最終的な見直し作業でつぶせばよいのです。
途中のプロセスは、紙と電子データのどちらをどう使ってやってもよいではないですか。
どのみち見直しをするのですから、ね。
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